今さら語る必要もないくらい有名で、ニルヴァーナを代表する『ネバーマインド』。グランジの発信源と言われるアルバムだ。アタクシ個人として最も好きなアーティストは、ニルヴァーナである。ニルヴァーナの前にニルヴァーナなし、ニルヴァーナの後にニルヴァーナなし。
彼らを初体験したのはこのアルバムだったと思う。今でもカート・コバーンはマイヒーローであるが、初めて音を聴いたときに、もう彼は亡くなっていた。曲を聴いてスゴイと思った興奮と、もう新曲は聴けないのだという諦めがないまぜになっていたのを覚えている。
当時の若者のアンセムのようになっていた「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」は、サウンドとしてちょっとポップすぎる印象がある。それでも、やっぱり「Hello, hello, hello, how low?」という歌詞は、その時のアタクシたちの気持ちを代弁してくれたのではないだろうか。
自分自身の責任が大きかったのかもしれないが、少なくともアタクシは、未来に対して大きな希望や夢など持てない状況だった。何だか上手くポジティブになれない自分を、この曲やニルヴァーナは許してくれたように感じていたし、ともに苦しんでくれたように思ったのだ。
自分の好みだけで言ってしまえば、サードアルバムの『イン・ユーテロ』の方が好きだ。それでも、ニルヴァーナを聴くよう薦めてくれた友人やこのアルバムに出会わなければ、自分のロック生活が縮小し続けたのは間違いないだろう。そのころ、音楽に喜びを見いだせなくなっていた。
このアルバムは、音楽(特にロック)の可能性を改めて感じさせてくれたし、「ロックって気持ちヨイよね」と純粋にワクワクできた。それだからこそ、『ネバーマインド』はロック史上とても大きな影響を与えたアルバムというだけでなく、アタクシの個人史においても非常に重要で、まさに分水嶺になったアルバムなのである。
Nevermind/Nirvana(1991)
1. Smells Like Teen Spirit
2. In Bloom
3. Come As You Are
4. Breed
5. Lithium
6. Polly
7. Territorial Pissings
8. Drain You
9. Lounge Act
10. Stay Away
11. On A Plain
12. Something In The Way