コナン・ドイル【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#143】


【5月22日】コナン・ドイル:1859.5.22~1930.7.7

ここに医者らしいタイプの紳士がいる。だが、どことなく軍人ふうのところもある。だから軍医にちがいない。顔はまっくろだが、手首が白いところを見ると生まれつき黒いわけじゃない。とすれば、熱帯地方から帰ったばかりだということになる。顔のやつれているのを見れば、だいぶ苦労した上に病気までしたことがわかる。左手にけがもしている。動きがこわばってぎごちないからだ。イギリスの軍医がこんな苦労をした上に、けがまでした熱帯地方というのはどこだろう。言うまでもなくアフガニスタンだ。これだけつづけて考えるのに、1秒もかからなかった。(『深紅の糸の研究』)

『シャーロック・ホウムズの冒険』林克己訳、岩波少年文庫、1985年、解説より

【アタクシ的メモ】
論理的な思考だけで、事態を解明していくというのは、個人的にどうしてもリアリティにかけると思ってしまう。様々な事柄で、選択肢が限られた時代ならいざしらず、現代においては、机上の空論、ご都合主義に感じてしますのだ。