J.S.ミル【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#128】


【5月7日】J.S.ミル:1806.5.20~1873.5.7

自分は今幸福かと自分の胸に問うて見れば、とたんに幸福ではなくなってしまう。幸福になる唯一の道は、幸福をでなく何かそれ以外のものを人生の目的にえらぶことである。自意識も細かな穿鑿心も自己究明も、すべてをその人生目的の上にそそぎこむがよい。そうすれば他の点で幸運な環境を与えられてさえいるなら、幸福などということをクヨクヨと考えなくとも、想像の中で幸福の先物買いをしたりむやみに問いつめて幸福をとり逃がしたりせずに、空気を吸いこむごとくいとも自然に幸福を満喫することになるのである。

『ミル自伝』朱牟田夏雄訳、岩波文庫、1960年

【アタクシ的メモ】
J.S.ミルなりの幸福論のようだが、「すべてをその人生目的の上にそそぎこむがよい。そうすれば他の点で幸運な環境を与えられてさえいるなら、(中略)自然に幸福を満喫することになるのである」というのが、抽象的すぎるというか、幸福を感じる回路がきちんと示されていないと思った。