考え始めれば、世界の不思議に気づくはず【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0169】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】完全に包囲された家/リディア・デイヴィス ○
「完全に包囲された」とは、一体何のことであろう。原文は分からないが、「包囲」だけでは、それがポジティブなのか、ネガティブなのかはっきりしない。しかし、「家に帰りたいと女は思った」というくらいなので、きっとネガティブな包囲なのだろう。そして、帰りたい家がもう存在しないことが、一番ネガティブなのかもしれない。

【詩・俳句・短歌・歌詞】のぶ子/鈴木章 ○
「のぶ子」が48回登場し、「書けば書くほど、悲しくなる」で終わる詩。読み手にとって「のぶ子」と名前を見ても、当然、具体的な人物像は浮かび上がってこない。ただの記号、固有名詞である。だが作者にとっては、大変に特別な人物であり、悲しみの要因になるくらいなのだろう。自分も似た経験があるから、身にしみる。

【論考】考えなければ始まらない/池田晶子 ○
そう、考えなければ始まらないのである。そして、考え始めれば、当たり前に思っていたことが、いかに驚くべき不思議だったかに気づくはずだと筆者はいう。「考える」とは、多くの人がよくする「思い悩む」とも違っているとも指摘する。しかし、振り返ってみると、学校で勉強は教えてくれるが、考えることはきっと教えないのであった。