レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。
【短編小説】新元号二年、四月/磯﨑憲一郎 △
カフカの小説の話から始まり、改元について、気づけば「私」という一人称が登場してきて、都内を移動しつつ 、北杜夫の引用で終わる。文章は淡々と進むが、読者が理解できるコンテクストは示されないので、ただただ目の前にある文字を追うだけになってしまう。シンプルに、何を言われているかも分からないため、読後感もよくなかった。やはり受け手にとって、「分かる」ということはとても大事だと思う。
【詩・俳句・短歌・歌詞】頑是ない歌/中原中也 ○
詩の冒頭に出てくる「思えば遠くへ来たもんだ」は印象的なフレーズである。海援隊の歌もあるが、もちろんこちらがオリジナルのようだ。詩にある通り、若い頃に思っていたような将来にはならないのである。少し前、中学生の頃に住んでいたつくばに行ったが、街自体も変わるし、見え方や認識が、現在とは全く別だったことを思い出した。私は、あの時の私ではいられないのだ。
【論考】垣根を越えて/外山滋比古 ○
前回の続きで、会話するにも、インブリーディング(同系繁殖)を避けようという主旨である。インターディシプリナリー(学際研究)という言葉も出てくるが、境界を越えた学問は、ある意味、今は当たり前になっているのではないか。当然になりすぎて、学問の数が増え、収拾つかなくなっているようにも思える。