ユゴー【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#057】


【2月26日】ユゴー:1802.2.26~1885.5.22

人間の歴史は下水溝渠の歴史に反映している。死体投棄の溝渠はローマの歴史を語っていた。パリ―の下水道は古い恐るべきものだった。それは墳墓でもあり、避難所でもあった。罪悪、知力、社会の講義、信仰の自由、思想、窃盗、人間の法律が追跡するまた追跡したすべのものは、その穴の名に身を隠していた。十四世紀の木槌暴徒、十五世紀の外套盗賊、十六世紀のユーグノー派、十七世紀のモラン幻覚派、十八世紀の火傷強盗、などは皆そこに身を隠していた。百年前には、夜中短剣がそこから現れてきて人を刺し、また掏摸は身が危うくなるとそこに潜み込んだ。森に洞穴のあるごとく、パリ―には下水道があった。

『レ・ミゼラブル』四、豊島与志雄訳、岩波文庫、1987年

【アタクシ的メモ】
下水道が多くの人たちにとって、逃げ場になっていたのだろうか。これを読むだけではわからない。