気づけば「FUJI ROCK FESTIVAL’20 LIVE ON YOUTUBE」の開催から1カ月が経った。YouTubeによる動画配信だから、当然生の迫力には勝てないものの、過去のライブ映像からの選りすぐりということもあってか、アタクシの心中は結構盛り上がった。その時は、ちゃんと苗場に行った気にもなり、無料でイベントを開催してくれたスマッシュに、とっても感謝している。
しかし、1カ月も経つと、毎日のようにフジロックに関する投稿をしているアタクシでも、やや「#キープオンフジロック」が難しくなっていると感じる。いつものアフターフジロックなら、大量の洗濯に始まり、諸々の片付けに励んだり、気になったアーティストをチョコチョコ調べたり、何だかんだと残務があったけど、今回はそんな余韻もないから、余計にフジロック気分をキープし続けづらいのだ。
「やはりUX(ユーザーエクスペリエンス)は大事だよねー」と、横文字のマーケティング用語を振りかざすつもりはないけど、体験の薄い情報だけだと、なかなかアタクシ自身の中で感情が共鳴しないのかもしれない。
2005年のフジロック、フィールド・オブ・ヘブンのトリ。ザンザン降りの雨の中で観たRyan Adams(ライアン・アダムス)は、今でも覚えている。苗場でも過去一二を争うような雨が、本当にひどかったのもあるけど、そんな豪雨の中にたたずむ聴衆を尻目に、プリプリ荒れているライアンに笑ってしまったからだ。
厳しく言えば、プロのアーティストとしては失格かもしれないけど、気に食わないことがあるからと、ハチャメチャなライブをしていた彼を目の前にして、人間らしさを感じた。体験というと少し大げさだが、その場に居合わせた感覚があれば、それは記憶や感情として、ずっと残り続けるのかもしれない。