天神山の記憶(10)【フジロックGO #0028】


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テントで一晩明かし目が覚めると、早速、寝床から抜け出した。するとそこには、昨日の夜からは考えられないような、穏やかな好天が広がっていた。台風一過といえばそれまでだが、かなりの落差に愕然とした。昨晩、苦労して登ったスキー場の斜面も、今は水に洗い流されて、青い芝が輝いている。空気も澄んでいて、本当に心地よい雰囲気だった。

天候に反して一つ懸念を挙げると、洗濯代わりになるからと出しっぱなしにしていたジーパンだろうか。雨の中、出したままになっていたのだから、手に取ってみても、もちろんビチョビチョで、これ以上水を吸わない状態だった。しかし、ズボンはこれしかなかったので、履くのを諦めたらパンツ一丁になるしかない。そんなこともあり、できるだけ手で絞って、ギャーと叫びながらジーンズを履いた。

こんなジーパンを履いた経験のある人ならわかるだろうが、とっても気持ちが悪い。至極、気持ちが悪い。どんなに天候が晴れて爽やかだったとしても、アタクシの下半身はずっとプールにでも入っているような感じがした。このジメジメ地獄の終わりは、遠い未来のように思えた。