全曲、一発録りだったと聞いてビックリした。一方で、「ああ、だからこんなアルバムになったんだ」と思った。それくらい聴き手に強い印象を与える一枚だったし、畠山美由紀の歌に鬼気迫る感じがあったのだ。
この『歌で逢いましょう』は、布施明、ちあきなおみ、テレサ・テン、八代亜紀、藤圭子、美空ひばり、森昌子、研ナオコらの昭和の曲を、畠山美由紀がカバーした「演歌、歌謡の名曲集」である。これらの名曲を、彼女の絶大な歌唱力を使って、歌いきったから完成したアルバムのように感じていた。
ただ、偶然「歌で逢いましょう」の特設サイトに掲載されていたSpecial Interviewを読んで、プロデューサーである沢田穣治が果たした役割や、それぞれの曲における演奏の影響の大きさや重要さを知った。また、彼女自身も沢田から「リスクを背負って歌っている」と評されている。
だからこそ、このアルバムもある意味で奇跡の産物(どんなモノもコトも、存在することは奇跡的であるのだが…)だったのかもしれないと思うようになった。歌が上手に歌えれば、ヨイ曲、ヨイアルバムが生まれるわけではないのだろう。アタクシは単に聴かせてもらっているだけだが、本当に音作りは奥が深い。
ちなみに、オリジナル曲と『歌で逢いましょう』バージョンを、きちんと比べたわけではないのだが、基本的にどの曲もオリジナルに勝るとも劣らないクオリティだと思っている。
「さすが、畠山美由紀さんだぜ」という感じではあるが、たまたま「おんな港町」を畠山美由紀と八代亜紀が一緒に歌っている動画(今回、その動画を探したが見つからなかった…)を見る機会があった。
その時は、八代亜紀の方がリズムがシャープで、グルーブもあって格好よかった。自身の持ち歌で、歌っている回数も雲泥の差ではあるだろうが、「八代亜紀、恐るべし」と思って後々彼女のCDも購入したのである。
歌で逢いましょ/畠山美由紀(2014)
1. シクラメンのかほり
2. それぞれのテーブル
3. 時の流れに身をまかせ
4. 花の夜舟
5. おんな港町
6. 圭子の夢は夜ひらく
7. 悲しい酒
8. 越冬つばめ
9. かもめはかもめ
10. 紅い花
11. 歌で逢いましょう
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