ディラン・バルディを中心としたクラウド・ナッシングスのデビュー・アルバム。彼が自宅の地下室で楽曲制作していたものを、インターネット上にアップしたところ、「ほとばしるパワー」「恐ろしいまでにキャッチー」などと賞賛を浴びて、このファースト・アルバムのリリースにつながったという。まさにネット生まれのアーティストなのである。
このアルバムはクラウド・ナッシングス名義ではあるものの、すべての楽器演奏はディラン・バルディだとのこと。バンド名で発表されていても、実質的にはソロ・ワークと考えた方がヨイようだ。
アタクシ的には、3枚目の『ヒア・アンド・ノーウェア・エルス』から2枚目『アタック・オン・メモリー』、そして『クラウド・ナッシングス』と、産卵を控えた鮭ではナイが、源流にさか上る形で聴いたことになる。
特に『ヒア・アンド・ノーウェア・エルス』などは、その熱情にかなり興奮したせいもあり、このアルバムについてはやや冷めた印象がある。とは言え、「恐ろしいまでにキャッチー」と口コミされるくらいなので、『クラウド・ナッシングス』も非常にキャッチーだし、どの曲も秀作ぞろいだと思う。あくまでアタクシの趣味の問題ではあるが、もうちょっと重めの音が好みなのだ。
改めて聴いてみて、何か似た雰囲気があると感じたのは、ザ・ジャムなどの初期のパンク・ロックだろうか。どこか軽やかな感じがあって、ヨイ曲だなーと思っても、アタクシとしてはのめり込みづらいのである。
もし最初のクラウド・ナッシングス体験がこのアルバムだったとしたら、彼らのCDを何枚も買っていなかったかもしれない。そういう意味では、アルバムとの出会い、聴く順番も結構大事なのだった。
Cloud Nothings/Cloud Nothings(2011)
1. Understand At All
2. Not Important
3. Should Have
4. Forget You All The Time
5. Nothing’s Wrong
6. Heartbeat
7. Rock
8. You’re Not That Good At Anything
9. Been Through
10. On The Radio
11. All The Time
12. I Know You’re All Done With Me
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