アタクシにライドを教えてくれたのは、雑誌『ロッキンオン』を介して文通していた人だった。今だと文通なんて考えられないだろうが、確か1997年くらいではなかったか。その人の最初の手紙で「ライドが好きでよく聴いています。聴きますか?」と問われ、「聴いてない、聴いてない」と慌ててCDを入手したのだ。
その時既にバンドは、4枚のアルバムをリリースしたうえで解散していたので、完全に出遅れ組である。それでも、ファースト・アルバム『ノーホエア』の評判が良さそうで、波のジャケットが気に入ってこともあり、ライドの音源としてこれを最初に買ったと思う。
手紙で教えてもらうまで、長い間全く知らずに過ごしていたのだが、一聴してすぐ好きになった。ノイジーだけど気持ちのヨイギター・サウンドに魅了されたのだ。その後、残りのオリジナル・アルバムやミニ・アルバム、シングルEPなどを、結構買い漁る感じで探して、聴いた。
そんなわけで、ライドの音楽はアルバムや時期を問わず気に入っているし、20年くらい経った今でもこの『ノーホエア』を中心に、本当によく聴いていると思う。アタクシとしては、いわゆるシューゲイザーの中でも突出している存在だ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタインも好きだけど…)。
具体的な曲で言えば、個人的には1曲目「シーガル」、3曲目「イン・ア・ディファレント・プレイス」、5曲目「ドリームズ・バーン・ダウン」、8曲目「ヴェイパー・トレイル」なんかが好きだし、おススメしたい。
だが、なぜ『ノーホエア』がそんなに好きなのかを言語で語るのは難しい。このアルバムを聴くと、やたらとキラキラと光る凪いだ海の風景が思い浮かんでくるのだが、不思議なほど、心情を説明できる言葉は出てこないのである。
制作当時、メンバー4人全員が20歳前後の若者で、ある意味無我夢中で作り上げ、鳴らした音だったのだろう。そうした意味では、何かを狙って音楽ではなく、戦略的に録音したアルバムでもなかった。だからこそ、リスナーのアタクシも言葉を失うのかもしれないーー。何て言い訳を言っていたら、人のせいにしすぎだろうか。
Nowhere/Ride(1990)
1. Seagull
2. Kaleidoscope
3. In A Different Place
4. Polar Bear
5. Dreams Burn Down
6. Decay
7. Paralysed
8. Vapour Trail
9. Taste
10. Here And Now
11. Nowhere
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