<意味>
O2Oは、オンライン・ツー・オフラインの略。オンライン(インターネット)での活動を、オフラインである実店舗などへ誘導し、購買行動につなげる考え方だ。インターネットと実店舗の連携は以前から存在しており、2000年頃には「クリック・アンド・モルタル」と呼ばれた。近年、システム連携の高度化やモバイル端末の進化にともない、O2Oとして新たに脚光を浴びている。
狭義では、オンラインからオフラインへの一方向を指し、実店舗で購入などの商取引が行われるのが前提となっている。しかし、昨今ではオフラインからオンラインへという逆の流れであったり、インターネット上のコミュニティで日々活動しながら、あるとき無料のイベントへ勧誘する例も、O2Oと称されることが少なくない。
<解説>
現在、O2Oが改めて注目を集める主な要因として、スマートフォンの急速な普及が挙げられる。どこにいてもインターネットに接続できるのはもちろん、ユーザーの現在地を把握できるGPS機能が搭載されている点が大きい。
具体的には、スマートフォンを持った利用者が店舗の近くを通ったとき、その場で割引クーポンを発行。ユーザーにとってもタイムリーな情報を提供し、これまで以上の集客を促すといった活用法だ。従来ではできなかったオンラインとオフラインの連動が、IT環境の進展により実現できるようになった。
位置情報を含む膨大な行動履歴や、インターネットでの購入情報などを蓄積し、掛け合わせて分析することで、精度の高い販促活動につなげようとする企業もある。いわゆる「ビッグデータ」の活用で、年齢、性別といった属性情報だけでない、趣味、嗜好を示す大量のデータを分析すれば、ユーザーの購入意欲や気分にかなった提案ができるようになる。
<課題>
スマートフォンは、様々な機能を実装できる高い処理能力を持つため、O2O施策として見ると、オンラインやオフラインで提供する個々のサービスは複雑なものになりがちだ。一企業の取り組みとしてではなく、複数企業の協業による連携システムもあれば、オンラインとオフラインを頻繁に行き来しなければならない仕組みもあるだろう。
オンラインからオフラインへという行程を考えても、ユーザー側と提供者側の関係性は長期化する。従来のように、店舗で消費、購入するポイントだけにサービスを集中すればよいわけではない。
O2O施策を、「一連の体験として顧客に提供する」と捉えれば、それぞれのサービス内容だけでなく、各場面でのインタフェース、対応の整合性など、十分に検討したうえで実施しなければ、実質的な集客効果や売上向上は簡単には見込めないだろう。