ヘレン・ケラー【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#153】


【6月1日】ヘレン・ケラー:1880.6.27~1968.6.1

先生は私の手を井戸の口にもっていきました。冷たい水の流れが手にかかると、先生はもう一方の手に、はじめはゆっくり次に速く「水」という字を書かれます。私はじっと立ったまま、先生の指の動きに全神経を集中します。突然私は、なにか忘れていたことをぼんやり意識したような、思考が戻ってきたような、戦慄を感じました。言語の神秘が啓示されたのです。そのとき、「W-A-T-E-R」というのは私の手に流れてくる、すばらしい冷たいなにかであることを知ったのです。その生きた言葉が魂を目覚めさせ、光と望みと喜びを与え、自由にしてくれました。

『ヘレン・ケラー自伝』川西進訳、ぶどう社、1982年

【アタクシ的メモ】
かつて幼いころ、伝記やアニメで体験したシーンである。今、こうして読むと、言葉(概念)が持つ力がヘレン・ケラーさんの生を、強く後押ししたように感じる。