西田幾多郎【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#140】


【5月19日】西田幾多郎:1870.5.19~1945.6.7

回顧すれば、私の生涯は極めて簡単なものであった。その前半は黒板を前にして坐した、その後半は黒板を後にして立った。黒板に向って一回転をなしたといえば、それで私の伝記は尽きるのである。しかし明日ストーヴに焼くべられる一本の草にも、それ相応の来歴があり、思出がなければならない。平凡なる私の如きものも六十年の生涯を回顧して、転た水の流と人の行末という如き感慨に堪えない。(「或教授の退職の辞」)

『西田幾多郎随筆集』上田閑照編、岩波文庫、1996年

【アタクシ的メモ】
西田幾多郎さんといえば、『善の研究』だと思うし、実際に読んで、いくつもスリリングな記述があったと記憶しているので、そちらからの引用でよかったのではないか。