草がしゃべるのを聞いてみたくなった【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0079】


【短編小説】掃除婦のための手引書/ルシア・ベルリン ◎
「わたし」が語るのは、掃除婦として訪れる方々の家庭のことと、亡くなってしまった夫のターについて。家やその住人によって、生活、生き方は様々だなと思って淡々と読んでいたが、この短編は、最後の一文「わたしはやっと泣く」のために書かれたのだと深く納得した。日々、色々な家庭に入ることで、悲しみを抑えられているのだろう。

【詩・俳句・短歌・歌詞】われは草なり/高見順 ◎
短く似たフレーズ続き、リズミカルだし、読みやすい詩である。草はもちろんしゃべらないけど、もし語り出せるなら、こんな風にしゃべるかもしれないと思ってしまった。われは草なりと宣言しながら、生きる日を美しく、楽しく感じているのも、とてもポジティブで、読むだけで前向きな気持ちになれる。

【論考】暗号の解読について/森本哲郎 △
いくらヤスパースが「われわれは暗号の世界のなかに生きている」と言ったとしても、暗号は基本的に人間が設定するものだから、あまり同意できない。人間は世界を構成するほんの一部でしかないからだ。一方で、「意味」は自らが創り出すものであるという主張には同意できる。