iPhoneのMusicアプリで、シャッフル再生していたら、畠山美由紀さんの声が聴こえてきた。いつ聴いても艶っぽいなーなどと思いながら、フジロックの木道亭でライブを観たことを思い出す。2013年のことだ。
木道亭というのは、ホワイトステージからフィールド・オブ・ヘブンをつなぐ、ボードウォークの途中にあるとても小さなステージ。大きさは一部屋分くらいしかないし、高くもなっていないので、観客と同じ目線である。
そんな森の中のささやかステージではあるが、畠山さんが登場すると聞いて、アタクシは焦って向かったのである。ただ、到着したときには、既にちょっとだけ演奏が始まっていた。それなりに聴衆が集まっていたので、少し木の陰に隠れるような場所から彼女の歌声を聴くことになった。
近くにあるフィールド・オブ・ヘブンの音が、木々の間から少し漏れ聴こえてくる。そんなことは意に介さないように、畠山さんはスッとステージに立って、軽やかに、そして感情を込めて歌声を届けてくれた。フッと、アタクシがいる方にも顔を向けたので、目が合いそうでドキッとする。
そんなに長い時間ではなかったけど、穏やかなスウィートボイスに抱擁された感じがして、決して忘れることのない苗場の体験となった。もう7年経っていることになるが、今もあの時の光景が、ふとした瞬間に自然と頭に浮かんでくるほどだ。
2021年じゃないにしても、また苗場で彼女の歌声が聴ける日がくることを、コロナ禍の中で、改めてアタクシはコッソリ願うのだった。