<意味>
エンゲージメント(engagement)の文字通りの意味は、「約束」や「婚約」。ただ、経営用語としては、社員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」を表現する言葉である。そうした意味では従来、人事や組織開発の分野で用いられることがほとんどであった。
昨今、ソーシャルメディアの普及とともに改めて注目を集めており、日本語では「きずな」「つながり」「かかわり」などと訳されることが多い。企業のマーケティング活動においても、ユーザーとブランドとの結びつきや、商品を購入する前後の関係性を重視する姿勢が顕著になりつつある。
<解説>
エンゲージメントへの関心が高まる背景に、マーケティング環境の大きな変化が挙げられるだろう。マスメディアを使ったテレビCMのような広告手法だけでは、顧客との関係構築が難しく、一方通行の情報発信ではマーケティング施策の成果が出づらい状況がある。
企業だからと、自社の商品やサービスの情報だけを伝えるのではなく、ソーシャルメディアなども積極的に活用し、ユーザーが共感できる情報提供や、消費者と企業の対等なコミュニケーションの必要性が高まっている。
<課題>
例えばFacebookでは、つながりの度合を把握するため「エンゲージメント率」を使用するのが一般的。エンゲージメント率は、1回の投稿に対していいね!やコメント、シェアがいくつあり、ファン数全体の何パーセントに当たるかを表す指標だ。計算式は、「(いいね!数+コメント数+シェア数)÷投稿数÷ファン総数」である。
エンゲージメント率の標準値は“1%”だとも言われる。消費者の関心度が数値化され、評価、分析の対象にできるため、非常に便利な半面、注意すべき点もある。その数値に一喜一憂したり、過信しすぎてはならないことだ。
ある投稿に「いいね!」がついたとしても、個々の動機は千差万別。単純にパーセンテージが高い、低いだけでなく、ユーザーとの関係性を正しく理解するには、どのようなコンテンツに、どのタイミングで、どのようなコメントがついているのか、ユーザーの文脈を踏まえた数値以外の解釈が不可欠である。