「前衛的なのに穏やかな気持ちになる」「スローで静かなのにゾクゾクする」――。そんな相反する性格を併せ持つアルバムだ。
まず目に飛び込んでくるのは、ジャケットの水色と中心が真っ赤なFKAツイッグスの顔。ややポップでチープなイメージを与えるかもしれない。だが、実際にその音を耳にすると印象は一変する。アーティスティックで美しい歌声が、宇宙のような底が抜けた空間に漂い、拡散し続けるからだ。
この『LP1』において、魅力の核となるのはFKAツイッグスの、ウィスパー・ボイスだろう。アルバムを通して静かな曲調に変化はないが、退屈に感じることも、聴き飽きることも全くない。むしろ誰もが、彼女の声にずっと浸っていたいと感じるのではないか。
そして、彼女の歌声を支えるのは、浮遊感を感じさせながらも変幻自在にリズムを刻むエレクトロ・ビート。この通底音と共鳴するように、FKAツイッグスの声はさらに響き渡るのだ。
2015年のフジロック、大トリとして彼女のライブを見ている。そのアクトでは、美しい歌声だけでなく、独創的なダンスを見せてくれた。CDを聴くだけではわからなかったが、元々ダンサーとしてのキャリアもあるそうで、その身体の躍動によって、声だけではないアートを体現していた。
LP1/FKA twigs(2014)
1. Preface
2. Lights On
3. Two Weeks
4. Hours
5. Pendulum
6. Video Girl
7. Numbers
8. Closer
9. Give Up
10. Kicks
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