「何だこりゃ」と思ったのが、このアルバムを初めて聴いたときのアタクシの素直な感想だ。2013年に発表された前作『1989』を、個人的には歴史に残るポップ・アルバムだと感じていたので、期待しすぎていたのかもしれない。
『1989』では、「シェイク・イット・オフ」をはじめ、誰もを虜にするような楽曲を数多く披露するだけでなく、圧倒的なスケール感のある音を鳴らしていた。
実際に、当時保育園に通っていたアタクシの2人の小さな子どもも、「シェイク・イット・オフ」を聴かせろと何度もせがみ、踊りまくっていた。老若男女を問わず、聴き手を魅了し、熱狂させている現実を見て、テイラー・スウィフトはとうとう真のポップ・クイーンになったなと思った。その彼女がリリースするニューアルバムと思ったら、ワクワクせずにはいられなかったのだ。
アルバムタイトルの『レピュテーション』は、日本語にすると「評判」という意味だ。今作の序文では、彼女自身が次のような言葉を寄せている。「誰かのことを分かっていると思っていても、実際それは、その人がこちらに見せようと思っている姿だということ」。
そうした、ややシニカルなスタンスだからなのか、これまでの伸びやかな歌声はほとんど表に出さず、エレクトロニック・サウンドやヒップ・ホップの手法が前面化した曲が続いていく。
落ち着いて、何度かアルバムを聴いてみると、音づくりは丁寧で、気合いもこもっている。決して手を抜いたわけではないようだ。それでも、全体的にはかなり地味な印象を持たざるを得ないし、何より残念に思ったのは、テイラー・スウィフトならではの音、彼女にしか歌えない歌だとは感じられなかったことである。
これが本当に、テイラー・スウィフトが我々に見せようと思っている姿だとしたら、『レピュテーション』というアルバムからどんな「評判」が生まれるのだろうか。それこそが、聴き手に問われているように思えてならない。
Reputation/Taylor Swift(2017)
1. …Ready For It?
2. End Game
3. I Did Something Bad
4. Don’t Blame Me
5. Delicate
6. Look What You Made Me Do
7. So It Goes…
8. Gorgeous
9. Getaway Car
10. King Of My Heart
11. Dancing With Our Hands Tied
12. Dress
13. This Is Why We Can’t Have Nice Things
14. Call It What You Want
15. New Year’s Day
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