ニューヨークの日常でもドラマは起こらない【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0072】


【短編小説】ルーシー/トルーマン・カポーティ  ◎
南部からニューヨークに来て、しばらくそこで過ごしてまた戻ってしまったルーシー。それなりに都会の生活を楽しんだようだが、特別なことが起こったわけではなかった。とても淡々としている。そう、生きていたって、そんなにドラマが起こってくれるわけではない。それは、ニューヨークでも同じことなのだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】自分の感受性くらい/茨木のり子  ◎
気づけば、色々とできない理由を、環境や周囲の人のせいにしていることを、見透かされているように思った。最後の「自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ」ももちろん響いたが、「初心消えかかるのを/暮らしのせいにするな/そもそもがひよわな志にすぎなかった」を読んで、背筋が自然と伸びるのだった。

【論考】人間の絆について/森本哲郎 △
どうやら有島武郎が書いた「カインの未腐」という小説を基に論を進めているようだが、説明不足でちょっと唐突な感じであった。また、この論考で言いたいこともよく理解できずに終わってしまった感じである。人間の絆をテーマにするのに、かなり極端な例を持ってきた印象である。