【短編小説】ひとつの目標/星新一
善意をもって世界征服をめざすグループに誘われるエフ博士。グループに参加して、人類のためにと、多くの知性やパワーを結集し、史上初めて世界征服が実現する。が、しかし、目標が達してしまうと、優れたメンバーも退屈してしまうのだ。イベント前までの方が、ワクワクするのに似ているかもしれない。ある意味、贅沢な悩みだろう。
【詩・俳句・短歌・歌詞】系図/三木卓
初めて自分の子どもが生まれたときのことを思い出した。誕生を喜びながらも、何だかフワフワした感じ。その時、自分の親はどうだったんだろうとは考えなかったが、誰しもきっと似たような感情を持つのだろう。歴史はくり返すというのか、家族の継承というのか。
【論考】「捨てる」ということについて/森本哲郎
一遍は、すべて捨てよと説いたという。確かに余計なものはもちろん、あらゆるものを捨て去れたら、それは超越者であろう。ただ、人間は容易にすべてを捨てられるわけでもなく、捨てるにしてもひとつひとつではないのか。そういう意味では、一遍の説を実践するならば、長い時間がきっと必要だ。