<意味>
英語の「nurture」は、養育する、育成するといった意味。ナーチャリングは見込み顧客を、有望な見込み顧客へと育成するマーケティング手法である。見込み顧客を指す「Lead(リード)」という言葉も含めて、「リードナーチャリング」と呼ばれることも多い。
オンラインを中心に、見込み顧客に対して多様な情報を提供。自社の商品やサービスに関心を持ってもらい、購入、契約へとつなげるのが狙いだ。特にBtoB商材では、単価が高く、購入決定までに長期間を要するため、商談率や成約率を高めづらい実情がある。こうした問題を解消しようと、ナーチャリングに取り組む企業が増えている。
<解説>
企業や商材によって、条件、環境は様々であるため、決まった手順があるわけではない。自社サイトでの資料ダウンロードなどから、見込み顧客の個人情報を取得してリスト化。Webサイトやメールマガジンなどのコンテンツによって、ユーザーのマインドを醸成し、有望な見込み顧客へと転換を図る例が多いようだ。
より具体的には、各コンテンツやユーザーの行動にポイントを設定し、見込み顧客が実際にどのような情報にアクセスしたかなどを集計、スコアリングする。このスコアによって、購入意向やニーズの度合いを把握できる。たくさんの情報に触れて、多くのポイントを獲得しているユーザーは確度が高いと判定するのだ。その後、営業部門などが直接訪問したり、販売促進活動を行う。
この手法で重要になるのが、Webサイトなどで展開するコンテンツの内容や導線などの全体設計である。様々なユーザーの状態やニーズに合わせて、まずは複数のコンテンツを用意しなければならない。さらに、それらのコンテンツをどのような順番、タイミングで見てもらうのか、各コンテンツにどれくらいのポイントを付与するのか、全体構成を踏まえた“ストーリー作り”が不可欠となる。
<課題>
ただし、“ストーリー作り”と一口で言うものの、実態はオンライン化された営業活動を新たに設計し、構築することに等しい。デジタルマーケティングに詳しいのはもちろん、顧客心理を含むユーザー理解、現場でも有効な営業ノウハウなど、要求される知見は多岐にわたる。
そのため実践に当たっては、「ナーチャリングを企画、実施できる人材がいない」という大きな課題がある。取り組んだ当初は、失敗するのが当たり前くらいに考え、トライ&エラーを繰り返しながら徐々に精度を上げる方が、むしろ成功への近道であろう。すぐに多数の有望顧客を獲得しようと焦り、短期的な効果を追い求めるべきではない。