【気になるマーケティング用語】ステルスマーケティング

<意味>
ステルスマーケティングとは、商品やサービスの提供者が消費者に対してそれと気づかれないように、購入を促す広告や宣伝を行うこと。代表的なやり方は、店舗や商品に対する良い評価を、金銭の授受を伴って組織的にWebサイトに書き込んだり、発信したりするもの。口コミで人づてに情報を伝えるバイラルマーケティングを悪用した手法だと言える。「ステマ」と省略した形で言われることも多い。

「ステルス」と呼ばれるのは、消費者にとって広告や宣伝には見えないためだ。英語の「Stealth」は、「隠れる」「内密」「人目を忍んだ」といった意味。もともと軍用機や戦闘車両などが、敵のレーダーに探知されないように考案された軍事技術の総称でもある。

<解説>
“やらせ”や“サクラ”と考えれば、古くからある宣伝手法であり、決して新しい考え方ではない。ただし、昨今ではインターネットなどの普及によって、ネットワーク環境が整備されているため、人前に出ることなく、低コストで大量の情報を拡散できるようになった点が、以前とは違っている。

ステルスマーケティングという言葉の通り、秘密裏に実行されているとしたら、広告や宣伝であると気づきにくく、消費者は知らないうちに影響を受け、購入に至っている場合も少なくない。

一方で、情報提供者側がステマの嫌疑をかけられると、「ステマ企業」「ステマ芸能人」などと、ソーシャルメディア上で話題にされたり、真相を追及しようとする動きが活発になったりと、社会的な騒動になることもある。

最近、世間をにぎわした例で言えば、2012年1月に発覚した「食べログ」の件がある。飲食店の口コミ情報サイトである「食べログ」に、店舗の依頼を受けて好意的な口コミを投稿する業者の存在が明らかになった。不正な投稿の見返りとして金銭を支払う行為が、厳しい非難にさらされたのである。

<課題>
現状では、著しい虚偽の記述内容などがなければ、ステルスマーケティング自体を取り締まる法律はなく、法的な抑止や規制は期待できない。そうした意味では、マーケティングを行う企業や、広告を掲載するメディアなどの倫理観や自主規制、チェック機能に頼らざるを得ない面がある。

法規制の対象外とはいえ、ある調査によればこの手法について、消費者の大半が高い嫌悪感を見せている。それゆえ、ステマを行っていることが一度露見すれば、その内容次第では、企業ブランドはおろか経営自体を大きく毀損する可能性も否定できないだろう。いくら売上や利益に効果があったとしても、マーケティング手法として、選ぶべき選択肢とは言えないのだ。

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