アダム・スミス【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#157】


【6月5日】アダム・スミス:1723.6.5~1790.7.17

たしかに彼は、一般に公共の利益を推進しようと意図してもいないし、どれほど推進しているのかを知っているわけでもない。……ただ彼自身の儲けだけを意図しているのである。そして彼はこのばあいにも、他の多くのばあいと同様に、見えない手に導かれて、彼の意図のなかにまったくなかった目的を推進するようになるのである。またそれが彼の意図のなかにまったくなかったということは、かならずしもつねに社会にとってそれだけ悪いわけではない。自分自身の利益を追求することによって、彼はしばしば、実際に社会の利益を推進しようとするばあいよりも効果的に、それを推進する。

『国富論』(二)、水田洋監訳、杉山忠平訳、岩波文庫、2000年

【アタクシ的メモ】
市場経済において、各個人が自己の利益を追求すれば、結果として社会全体において適切な資源配分が達成されるという「神の見えざる手」を、論じた部分のようだ。今も、神の見えざる手は有効なのだろうか?