バルザック【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#141】


【5月20日】バルザック:1799.5.20~1850.8.18

パリはまことに大海原のようなものだ。そこに側鉛を投じたとて、その深さを測ることはできまい。諸君はこの海洋をへめぐり、それを描きだそうと望まれるだろうか。それをへめぐり、かつ描くことに諸君がいかに精魂をこめようと、またこの大海の探検家たちがいかに大勢で、いかに熱心であろうと、そこにはかならず未踏の地が残り、見知らぬ洞穴や、花や、真珠や、怪物や、文学の潜水夫からは忘れられた前代未聞のなにかが残ることだろう。

『ゴリオ爺さん』(上)、高山鉄男訳、岩波文庫、1997年

【アタクシ的メモ】
世界は未知にあふれている、ということだろうか。併せて、観察者である人間の限界を示しているのかもしれない。