東京の中心は空虚である【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0146】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】それからの家族/早見和真 ○
母親が病気で亡くなってしまう、家族4人の物語。男3人はバラバラで、母親だけが太陽のようという設定が、ご都合主義に感じた。兄弟による見解の相違も、違うことが示されるのみで、理由や根拠が分からず、やや深みが足りないように思う。最後のハッピーエンド的な終わり方も、上手く理解できなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】美しい国/永瀬清子 ○
戦中から戦後への変化を詠んだ詩だと思う。戦争については何も書いていないし、「敵」というワードがちらっと出るくらいだが。やはり、感じたことを感じたままに語れることは、人間が生きていくためには重要である。本音、本心が表現できないのは、苦痛でしかないだろう。しかし、本音を語ることと、美しさは別だとも思う。

【論考】中心一都市 空虚の中心/ロラン・バルト ○
筆者は「中心へゆくこと、それは社会の《真理》に出会うことである」と言う。ただ東京の中心には皇居があり、「その中心は空虚である」と指摘する。長く私は、東京の中心は空虚であると考えていたが、社会的中心ではないだけで、精神的な寄り所にはなっているのではないかと、改めて思い始めた。