ヘロドトス【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#103】


【4月12日】ヘロドトス:前484頃~前425頃

陣立てを終わり犠牲の卦も吉兆を示したので、アテナイ軍は進撃の合図とともに駆け足でペルシア軍に向かって突撃した。両軍の間隔は八スタディオンを下らなかった。ペルシア軍はアテナイ軍が駆け足で迫ってくるのを見て迎え撃つ態勢を整えていたが、数も少なくそれに騎兵も弓兵もなしに駆け足で攻撃してくるのを眺めて、狂気の沙汰じゃ、全く自殺的な狂気の沙汰じゃと罵った。ペルシア方はアテナイ軍の行動をこのように受け取ったのであったが、一団となってペルシア陣内に突入してからのアテナイ軍は、まことに語り伝えるに足る目覚ましい戦いぶりを示したのである。

『歴史』(中)松平千秋訳、岩波文庫、1972年

【アタクシ的メモ】
アテナイ軍とペルシア軍の戦いの様子。2000年以上前の遠く離れた場所での出来事が、テキストで目の前に提示され、またそれを理解できるという、言葉のマジックとでも言うべき力に驚いている。