エーリッヒ・フロム【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#078】


【3月18日】エーリッヒ・フロム:1900.3.23~1980.3.18

十九世紀においては神が死んだことが問題だったが、二十世紀では人間が死んだことが問題なのだ。十九世紀において、非人間性とは残忍という意味だったが、二十世紀では、非人間性は精神分裂病的な自己疎外を意味する。人間が奴隷になることが、過去の危険だった。未来の危険は、人間がロボットとなるかもしれないことである。たしかにロボットは反逆しない。しかし人間の本性を与えられていると、ロボットは生きられず、正気でいられない。

『正気の社会』加藤正明・佐瀬隆夫訳(『世界の名著』続14、中央公論社、1974年)

【アタクシ的メモ】
十九世紀の問題は、人間の外部にあり、二十世紀になって問題は人間に内在化されたということだろうか。エーリッヒ・フロムなら、『自由からの逃走』や『愛するということ』などがよく知られているので、この引用にはやや驚いた。