時間のないころのゆめをみる【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0076】


【短編小説】エンジェル・コインランドリー店/ルシア・ベルリン ◎
ニューメキシコ州にあるコインランドリー店で、トニーとわたしは、偶然にも何度となく居合わせる。なぜかトニーは、わたしの手を見る。そして、ささやかなやり取りが始まる。もちろん大きな事件は起きない。いくつかのエピソードは語られるが、いつの間にか会うことがなくなり、二人の小さな物語は、終ってしまう。

【詩・俳句・短歌・歌詞】雲の信号/宮沢賢治 ◎
「みんな時間のないころのゆめをみているのだ」という一節が印象に残る。文明がなく、人もいない、いにしえの時を想起しているのだろうか。「ああいいな」から始まり、読み手も同じような穏やかな気分になるが、タイトルである「雲の信号」の意味は理解しきれないままだった。

【論考】バベルの塔について/森本哲郎 △
塔は人間にとって、コミュニケーションセンターの機能を引き受ける受ける重要なメディアであるという指摘は重要だろう。ただ、「バベルの塔」について語ってしまうと、神の意図や聖書の解釈などもあり、ややとっ散らかった論考になってしまったと思う。現代の高層ビル群とバベルの塔を比べるのも、ややありきたりだと感じた。