【短編小説】空の死神/星新一
ちょっと後味が悪すぎる。訳アリの乗客ばかりを乗せた飛行機が、落雷によって墜落しようとしている。乗客の誰もが現世では都合が悪く、むしろ喜んで死を迎え入れようとする。そのため、乗客を助けようとするCAさんは、逆に邪魔者扱いされて……。読み終った後は、やるせない気持ちにしかならない。
【詩・俳句・短歌・歌詞】求婚の広告/山之口貘
コミカルな印象も持てなくはないが、何とも共感しづらい内容である。少なくとも、今の時代にはフィットしていないと思う。「あなた」こそを待ち侘びているというのであれば、もうちょっと謙虚な熊度が必要なのでないか。「広告」というのも、押し付けがましい感じが強くなる。
【論考】「風流」について/森本哲郎
「風は何かを教えてくれます」。確かに、そうかもしれない。しかし、教えてくれるのは、風だけではないと思う。様々な自然の営みに気づかされるのが、人間だろう。日本人にとって風は特別な存在であるというのは、やや言い過ぎだと思うし、論考全体としてロジックが通っていないと感じた。