これまで誰も聴いたことのない、異形のサイケデリック・ミュージックを鳴らすゴート。北欧スウェーデンはコルピロンボロ出身の3人組だという。バンドに関する情報がほとんどなく、顔は覆面に覆われている。自らの正体を明かさず、外見は怪しい連中にしか見えない。
ただし、音はホンモノだ。アタクシの好みにバッチリ合っていると言った方が、より正確な表現になるだろうか。初めて彼らの音を耳にした際は、少し聴いただけで圧倒的なグルーブに包まれ、「これはアルバムを通して聴かなければならない」と、瞬間的に熱に浮かされてしまったのである。
この『ワールド・ミュージック』が、彼らのファースト・アルバム。呪術的で不穏なリズムが打ち鳴らされ、絡みつくようなギターが響き、叫びにも似た女性ボーカルの声が、さらにその上に重なっていくのだ。
遠い北極圏から発せられたからだろうか、どのサイケデリック・ロックとも違った感触を持ったオリエンタル・サウンドは唯一無二の存在感を示す。誰もが受け入れやすい音ではないが、コアな音楽ファンには、きっと熱狂的に迎えられるはずである。
アルバム全体で曲数も9曲しかなく、時間にしてもわずか37分間。ゴートが紡ぎ出す混沌としたトリップ感に投げ込まれたら、そのアフリカンビートに切り刻まれているうちに、あっという間に最後まで駆け抜ざるをえない。しかも、この狂気の至福を一度体験してしまうと、「もっともっと」とゴート中毒症状に見舞われるだろう。
World Music/Goat(2012)
1. Diarabi
2. Goatman
3. Goathead
4. Disco Fever
5. Golden Dawn
6. Let It Bleed
7. Run To Your Mama
8. Goatlord
9. Det Som Aldrig Förändras / Diarabi
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