どうしてDJシャドウを手にしたのか、自分でもよく覚えていない。ジャケ買いだったのか、ロック以外の少し別のジャンルを聴いてみようとしたのか――。だからいつどこで、この「エンドトロデューシング……」に初めて触れたのか、正直に言って記憶がないのだ。
それでも、このアルバムの音を聴いたときの衝撃はよく覚えている。当時、アタクシにはギターロック至上主義の考えがあって、それほどヒップホップを聴いていたわけでもなかったはずだ。だから、ジャンルや音楽手法にやや距離感があったものの、美しい旋律、メランコリックさ、ビート感、どれもが今まで聴いたことのない、磨き抜かれた音を響かせていた。
20周年記念盤が出るほど、今ではもう「古い昔のアルバム」であるが、アタクシにとってはヒップホップだけでなく、音楽シーンに残る傑作だと思っている。これからも色あせることなく、多くの人を魅了し続けるアルバムではないだろうか。
「エンドトロデューシング……」は、DJシャドウにとってファーストアルバム。ずっと彼のリリースを追いかけた身としても、残念ながらこれを超える作品は出せていないように思う。特にインタビューなどを読んだわけではないが、ある種の十字架になってしまっていなかと感じる。それほど圧倒的な、歴史に残る音の記録なのである。
Endtroducing……/DJ Shadow(1996)
1. Best Foot Forward
2. Building Steam With A Grain Of Salt
3. The Number Song
4. Changeling **Transmission1
5. What Does Your Soul Look Like (Part 4)
6. (no title)
7. Stem / Long Stem **Transmission2
8. Mutual Slump
9. Organ Donor
10. Why Hip Hop Sucks In ’96
11. Midnight In A Perfect World
12. Napalm Brain / Scatter Brain
13. What Does Your Soul Look Like (Part 1 Blue Sky Revisit) **Transmission 3
14. Red Bus Needs To Leave
15. In/Flux