他者が在る


他者が在る。自己とは、別なるもの。その命をその命として、生きる。その経験をせずに、他者は理解できない。

自己のコピー、浮遊した感触、それらは理解の妨げにしかならない。むしろ、ねじ曲げられた断定への入口なのだ。


こぼれ落ちるもの


こぼれ落ちるもの、その流れすべる姿を心にとめる。それなくして、何も語ることはできない。

ただ話す、そのなめらかさ、その誇らしさ、その上昇気流に気持ちをとられ、見誤ってはいけない。その病気に侵されたものは、決して何も見ていない。

盲目なのだ。その自らに気づかぬもの、それが覆い尽くす瞬間、瞬間が、毒ガスの様に憂鬱な空気を這いつくばらせる。