デフォー【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#117】


【4月26日】デフォー:1660頃~1731.4.26

ある日のことであった。正午ごろ、舟のほうへゆこうとしていた私は海岸に人間の裸の足跡をみつけてまったく愕然とした。砂の上に紛れもない足跡が一つはっきりと残されているではないか。私は棒立ちになったままたちすくんだ。まさしく青天のへきれきであった。それとも私は幽霊をみたのであったろうか。耳をすまし、あたりを見まわしたが、なにも聞こえなかった。なにもみえなかった。もっと遠くをみようと、小高いところにもかけ登った。浜辺も走りまわった。しかしけっきょくは同じで、その足跡のほかはなにもみることはできなかった。

『ロビンソン・クルーソー』(上)、平井正穂訳、岩波文庫、1967年

【アタクシ的メモ】
主人公ロビンソンは乗っていた船が難破し、無人島に漂着。そこで誰にも頼らず、28年間に渡って生き抜くという苛酷な体験をしたようだ。それであれば、人の存在を予感させるものに出会えば、とても興奮するだろう。