勝海舟【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#019】


【1月19日】勝海舟:1823.1.30~1899.1.19

世の中に無神経ほど強いものはない。あの庭前の蜻蛉(とんぽ)をごらん。尻尾を切って放しても、平気で飛んで行くではないか。おれなどもまあ蜻蛉ぐらいのところで、とても人間の仲間入りはできないかもしれない。むやみに神経を使って、やたらに世間のことを苦に病み、朝から晩まで頼みもしないことに奔走して、それが為に頭が禿げ鬚(ひげ)が白くなって、まだ年も取らないのに耄碌(もうろく)してしまうというような憂国家とかいうものには、おれなどはとてもなれない。(『氷川清話』)

『日本の名著32勝海舟』中央公論社、1984年

【アタクシ的メモ】
自分を無神経なトンボくらいだと蔑みながら、当時多くいた憂国の士を批判しているようだ。