【1月13日】ジョイス:1882.2.2~1941.1.13
雪は、また、マイケル・フェアリーが埋もれている丘の上の淋しい教会墓地のいたるところに降っている。雪はゆがんだ十字架や墓石の上に、小さな門の穂先の上に、不毛ないばらの上に、深々と降り積もっている。彼の魂は雪の降る音を耳にしながら、しだいに知覚を失っていった。雪が、かすかな音を立てて宇宙に降り、最後の時の到来のように、かすかな音を立てて、すべての生者たちと死者たちの上に降りそそぐのを耳にしながら。(「死者たち」)
『ダブリンの市民』高松雄一訳、集英社、1999年
【アタクシ的メモ】
雪は、分け隔てなくあらゆるところに降り積り、そして生者に対しても、死者に対しても降るのだった。