人間が作れる一番小さな海【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0163】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】手紙/リディア・デイヴィス ◎
別れた男女、その女性が主人公。男性は不在だが、痕跡を追うように、男性に近づこうとする。未練と言えば簡単だが、女性の感情表現はほとんど示されず、小さな行動が丹念に描かれている。あより抑揚がない、いつも通りの淡々とした文章によって、かえって女性の情緒が表現されているように感じた。

【詩・俳句・短歌・歌詞】一ばんみじかい抒情詩/寺山修司 ○
「なみだは/にんげんのつくることのできる/一ばん小さな/海です」。これが詩の全文。確かにと、納得する半面、作者は「海」を何ととらえているのだろうか。単純に一定量の液体ということではないだろう。また、読み手にとって「海」は、何を想起すると考えているのか。端的に言って、美しい詩だと思うが、読者とのかけ橋があいまいにも感じる。

【論考】表微の部屋/ロラン・バルト ○
何度か読んだが、きちんと理解できていない。日本は、「空間の特殊な構造化がおこなわれている」という。どこが特殊なのか判然としないものの、西洋と違って境界があいまいで、装飾がほとんどないということか。それは、文明が未発達だったということより、神(一神教)の不在が大きな理由だと思う。