至福とは?【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0063】


【短編小説】水車場の店/トルーマン・カポーティ
余韻のある一篇だった。水車場の売店の女性が、蛇に咬まれた少女を助けるだけの物語とも言えるが、女性の過去を連想させる部分もあり、それが読者の頭の中に広がりを持たせるのだろうか。カポーティはまだ2作目だが、すでに癖になっている。

【詩・俳句・短歌・歌詞】鳩/高橋睦郎
一読、二読では、ちょっとよく分からなかった。自分の読解力のなさが、恨めしい。解説的なnoteを読んで、書かれていることがやっと分かった。鳩を介しているが、「あのひと」と「あたし」の恋類様。もしかしたら、道ならぬ恋なのかもしれない。ただ、軽快なやり取りがユーモラスで、湿った感じがないのが救いである。

【論考】ふたたび、至福の世界について/森本哲郎
筆者は、我れを忘れて没頭できる、つまり忘我が、幸福だという。しかし、私自身は体験的に、至福とは自分自身を含め、すべてが肯定されている瞬間ではないかと思っている。自己も他己も、目の前にある存在すべてが、世界から肯定的に捉えられ、歓迎されている必要があるのではないか。そうした意味では、筆者の考えとは平行線である。