「こぼれ落ちるもの」
こぼれ落ちるもの、その流れすべる姿を心にとめる。それなくして、何も語ることはできない。
ただ話す、そのなめらかさ、その誇らしさ、その上昇気流に気持ちをとられ、見誤ってはいけない。その病気に侵されたものは、決して何も見ていない。
盲目なのだ。その自らに気づかぬもの、それが覆い尽くす瞬間、瞬間が、毒ガスの様に憂鬱な空気を這いつくばらせる。
初出:https://kazuhiq.com/19941105/koboreochiru/ (1994年11月5日)
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データとして残っていて、自分が書いた最も古いテキスト。今読むと、正直何を言おうとしていたのか正確なところは分からない。ただ、語ることで、言葉にすることで、その言語化から必ず締め出されるものがあると言いたかったのではないだろうか。