【4月6日】ジェームズ・ワトソン:1928.4.6~
冷え切った、ほとんど暖房のきいていない汽車の客室で、私はB型の模様について覚えていることを新聞のすみの余白に書きとめた。それからケンブリッジへ向かってガタガタと走る汽車の振動に身をまかせながら、二本鎖と三本鎖のどちらが正しいか考えてみた。……自転車でカレッジへ帰り、裏門をのり越えるころには、私の腹は決まっていた。二本鎖で模型を組み立ててみよう。フランシスも賛成してくれるにちがいない。
『二重らせん』江上不二夫・中村桂子訳、講談社文庫、1986年
【アタクシ的メモ】
DNAの二重らせんモデルが、まさに誕生するシーンを引用しているので、生物学や医学の歴史としては貴重ではあろうが、なぜ三本鎖ではなく、二本鎖になったのか、理論的、科学的な考察が書かれていなので、そこは残念である。