アガサ・クリスティ【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#0012】


【1月12日】アガサ・クリスティ:1890.9.15~1976.1.12

会話において、何かをかくしているものほど、危険なものはないよ! あるフランスの老賢人が私にいったことがある。話というものは、考えることを妨げるための、発明だ、とね。そしてまた、人がかくそうと思っていることを発見するための、誤りのない方法でもあるわけだ。人間というものはだな、ヘイスティング、自分自身をあらわし、その個性を表現するために、会話が与えてくれる機会には、抗し得ないものだよ。

『ABC殺人事件』堀田善衛訳(『世界名作推理小説体系』9、東京創元社、1960年

【アタクシ的メモ】
人は、会話すると考えなくなる。会話は、隠し事を発見する方法。会話は自分の個性を示すための格好の機会ということか。だとすると、「会話において何かをかくす」ということは、非会話的な精神状態なのだろう。ちょっと当たり前すぎる言説にも思えるが…。