ブーバー【『一日一文 英知のことば』から学ぶ#073】


【3月13日】ブーバー:1878.2.8~1965.6.13

メロディーは音から成り立っているのではなく、詩は単語から成り立っているのではなく、彫刻は線から成り立っているのではない。これらを引きちぎり、ばらばらに裂くならば、統一は多様性に分解されてしまうにちがいない。このことは、わたしが〈なんじ〉と呼ぶひとの場合にもあてはまる。わたしはそのひとの髪の色とか、話し方、人柄などをとり出すことができるし、つねにそうせざるを得ない。しかし、そのひとはもはや〈なんじ〉ではなくなってしまう。(『我と汝』)

『我と汝・対話』植田重雄訳、岩波文庫、1979年

【アタクシ的メモ】
同一性について語っているのだろうか。なんじ(あなた)を構成する要素を分解してしまうと、自己同一性は保てなくなる。ただ、それが単なる数多ある組み合わせのうちの一つであるという確率論ではないと、私は考える。