【短編小説】わたしの騎手/ルシア・ベルリン ◎
わずか2ページの短編小説。正直、アレって思ってしまった。緊急救命室で働く「わたし」は、ケガをした騎手を担当する。彼の言葉が通じるからか、また女性だからか、あっという間に母と息子のような関係性になる。物語の短さもあって、不思議な読後感であった。なお、時間がかかる例えでミシマが出てきた。
【詩・俳句・短歌・歌詞】うさぎ/まど・みちお △
前回の「われは草なり」に似ているが、こちらはピンとこなかったし、うさぎの愛らしさのようなものは感じられなかった。「うさぎにうまれてうれしい」と直接的に表現されるものの、どのようにうれしいのか、あるいは、なぜうれしいのかなどが、書かれていないから、伝わってこないのだろうか。
【論考】人間の感性について/森本哲郎 △
感性全般ではなく、何を美しいと感じるかを考察した論考。異論を説えたいわけではないものの、最後に「美というものにあまりに不感症になっているこんにちの私たち」と急に言われても、取って付けたような主張に思えた。美を意識しないというより、特に最近に日本人は、好き嫌いが前面化しているように感じている。