世界の形を変える【1000のカスタネット#0005】


「世界の形を決定的に変える」とは、どのような事態、状況なのだろう。例えば、ずっと雨が降り続いてしまい、あらゆる場所が水没してしまったら、世界の形は変わったといえるのだろうか。

現象が変化したことで、様子は変わるのかもしれない。生活形態や暮らし方に、大きな影響を与えるかもしれない。

しかし、それが私たちの生きる世界の形を変えたことになるのだろうか。むしろ、外的な環境の変化よりも一人ひとりの視点が変わる方が、世界を変える可能性が高いように思う。


音楽の基礎【原稿用紙一枚の教養#0005】


※『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』の各ページを400字程度で要約しています。

第1週第5日(金)
5 音楽
音楽の基礎

音楽とは、模倣や楽譜によって再現できる組織化された音。音楽の音を分析する際の基本的な要素には、次のようなものがある。

音高(ピッチ)──耳に聞こえる音の高低。音高は、専門的には音波の周波数、つまり音の波が一定時間に繰り返される回数で測定される。西洋音楽には、明確に違う音高が12ある。

音階(スケール)──音高を高さの順に階段状に並べたもので、しばしば旋律の基盤となる。楽曲では、全体を通じて、または部分ごとに、特定の音階に出てくる音だけを使うことが多い。西洋音楽では、さまざまな長音階や短音階をもっぱら使う。長音階は「明るく」、短音階は「暗い」印象を持たれる。

調(キー)──音高を、普通は長音階か短音階のひとつを基にして並べたもので、旋律の基準となり、旋律を支える流れとなる。調の中心音である主音は、特定の調で書かれた楽曲の最初と最後の音であることが多い。ある楽曲がホ長調の場合、ホの音が、その楽曲の主音である。

【アタクシ的ポイント】
音楽を音楽たらしめているのは組織化されているかどうか。かなりあいまいな定義だ。


ストーリーとメッセージ【1000のカスタネット#0004】


ストーリーとメッセージ。どちらが重要なのか。もちろん、どちらも重要、大切で、優劣はつけがたいのかもしれない。

しかし、優れたストーリーテリングによって、そのコンテンツにぐいぐいと引き込まれ、没入していっても、メッセージが残らなければ、消費されたに過ぎないのではないか。興奮した体験は、時間の経過とともに忘れ去られるのではないか。であれば、メッセージの伝達を目的としたストーリー構築が必要になるだろう。


クローン技術【原稿用紙一枚の教養#0004】


※『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』の各ページを400字程度で要約しています。

第1週第4日(木)
4 科学
クローン技術

1997年、世界ではじめてクローン技術によってヒツジが生まれた。赤ん坊ひつじの名前はドリー。母親と細胞核のDNAがまったく同じ。言ってみれば、世代をまたいだ一卵性双生児のようなものだ。

スコットランドにあるロスリン研究所は、ドリーを生み出すのに核移植という手法を使った。これは、ドナーとなる大人の細胞から遺伝物質を取り出し、あらかじめ遺伝物質を取り除いておいた未受精卵に移植する方法である。

ドリー誕生が衝撃的だったのは、個体の特定部位から取った細胞を使っても、新たな個体を作れると、科学的に証明したからだ。それ以前は、細胞は特定の組織に分化した後は特定の細胞にしか分化できないと思われていた。心臓の細胞からは、心臓の細胞しか作れないというように。

しかし多くの点で、ドリーは普通のひつじとも違っていた。例えば、細胞を保護・修復すると考えられるタンパク質のテロメアが極端に短かった。そのためか、肺がんと重度の関節炎を患い、2004年に六歳で安楽死させられた。これは同種のひつじの平均寿命の半分程度である。

【アタクシ的ポイント】
ドリーの新しさは、既に分化した特定部位の細胞が、他の部位にもなり得ると分かったこと。これがEPS細胞などにもつながっているのか。


存在と生成【1000のカスタネット#0003】


「小さな変化」

落ち続ける葉。大きな樹から、絶えることなく落ちる葉。いくつも、いくつもの葉が落ちる。しかし、私はその樹の変化に盲目でしかない。

初出:https://kazuhiq.com/19941201/chiisanahenka/ (1994年12月1日)
—–

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」と、鴨長明が言った通り、世界はいつも変化している。人間もある瞬間と別の瞬間を比べたら、何らかの違いがあり、絶えず変わっている存在だ。だが多くの場合、小さな変化には気づかず、ほとんど何も変わっていないように感じられる。

存在者の「存在」は、本来「生成」が切り離せないものであるだろうが、我々はその点に注意を払っていないのではないか。


ラスコー洞窟の壁画【原稿用紙一枚の教養#0003】


※『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』の各ページを400字程度で要約しています。

第1週第3日(水)
3 視覚芸術
ラスコー洞窟の壁画

世界最古の絵画と言われるラスコーの洞窟壁画。見つかったのは1940年、フランス中部の村モンティニャックの近くだ。洞窟の内部は部屋がいくつもつながっており、その壁には、1万5000年から1万7000年前に描かれた動物の絵が1500点近くあった。

この壁画が描かれた理由は諸説ある。この洞窟の形状が動物の形に似ていると、そのイメージをほかの人に伝えようとして目立つ印を付け加えたのかもしれない。また、壁画の多くが洞窟の中でも人が入りにくい場所にあるため、呪術的な儀式に使われたのかもしれない。

いずれにせよ先史時代の人々は、動物の絵を非常に正確に描くことで、動物を自分たちの思いどおりにしたり、数が減ったときには増やしたりできると考えていたようだ。

壁画の動物は、輪郭線だけで描かれるか、その中が一色で塗りつぶされているかの、どちらか。その多くは、いわゆる歪曲描法を使っていて、例えば頭部は横向きだが、角は正面を向いた形で描かれている。

壁画が旧石器時代のものだと判明すると、1948年に一般公開された。ところが、多くの見学者が訪れたため、壁画が二酸化炭素で傷み、結局、洞窟は1963年に閉鎖された。

【アタクシ的ポイント】
見たままに描くのではなく、見てもらいたいように描くと歪曲描法になるのではないか。

Embed from Getty Images


無知のつぶやき【1000のカスタネット#0002】


「世界が終わるとき」

世界の終わりがきたら
きみはどうする?

ぼくは、タマゴを割ってみるね
生タマゴかゆでタマゴかわからないから

初出:https://kazuhiq.com/19960903/sekaigaowarutoki/ (1996年9月3日)
—–

自分は最後まで、知ろうとする人でありたいと思っている。


『ユリシーズ』【原稿用紙一枚の教養#0002】


※『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』の各ページを400字程度で要約しています。

第1週第2日(火)
2文学
『ユリシーズ』

ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』(1922年)は、20世紀に英語で書かれた中で最高峰の小説である。ホメロスの『オデュッセイア』を、アイルランドの都市ダブリンでのある一日(1904年6月16日)の出来事として作り変えたものだ。

主人公は、レオポルド・ブルームという中年の広告セールスマン。出会う人たちのほぼすべてに寛容さと度量の広さを示し、何気ない日々の雑事を通して、日常的ヒロイズムを実践している。

この作品は、「登場人物を丹念に描写している点」「他の文学作品や芸術作品に、それとなく触れている点」「言葉を斬新に使っている点」で有名だ。その中でも特によく知られているのは、意識の流れをそのまま叙述する技法だろう。

ジョイスは、登場人物が心の中で思ったことを、順序づけたり整理したりせず、そのままの形で提示した。この技法はヴァージニア・ウルフやウィリアム・フォークナーなど多数の作家たちに影響を与える。

最終章では、ブルームの妻モリーの心のうちがつづられる。あてどなく延々と続くモリーの思いは2万4000語を超え、それがわずか八つの長大な文で区切られている。

【アタクシ的ポイント】
体系立てたり、整理しないことは、現在もある意味新規性であり続けており、その端緒はほぼ100年前に始まっていたことになる。


言語化によって締め出されるモノ【1000のカスタネット#0001】


「こぼれ落ちるもの」

こぼれ落ちるもの、その流れすべる姿を心にとめる。それなくして、何も語ることはできない。

ただ話す、そのなめらかさ、その誇らしさ、その上昇気流に気持ちをとられ、見誤ってはいけない。その病気に侵されたものは、決して何も見ていない。

盲目なのだ。その自らに気づかぬもの、それが覆い尽くす瞬間、瞬間が、毒ガスの様に憂鬱な空気を這いつくばらせる。

初出:https://kazuhiq.com/19941105/koboreochiru/ (1994年11月5日)
—–

データとして残っていて、自分が書いた最も古いテキスト。今読むと、正直何を言おうとしていたのか正確なところは分からない。ただ、語ることで、言葉にすることで、その言語化から必ず締め出されるものがあると言いたかったのではないだろうか。


アルファベット【原稿用紙一枚の教養#0001】


※『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』の各ページを400字程度で要約しています。

第1週第1日(月)
1歴史
アルファベット

紀元前2000年ころ、古代エジプトのファラオたちは、奴隷たちに文書で命令を伝えることができず悩んでいた。奴隷たちは、エジプトの文字ヒエログリフ(神聖文字)が読めなかったからだ。

太古の文字体系は、どれもたいへん面倒で覚えるのが難しかった。文字が何千個もあって、覚えるのに長い時間がかかる。実際、エジプト人でもこの複雑な文字体系を読み書きできたのは、ほんの一握りしかいなかった。

そこで、ヒエログリフの簡略版を作り、これが今に伝わる多種多様なアルファベットの起源になったと考えられる。ヒエログリフの簡略版では、ひとつの文字が表すのは音だけだ。このため、文字の数は数千個から数十個にまで減り、文字を覚えて使うのが、はるかに楽になった。

アルファベットは近東に広まり、ヘブラ文字やアラビア文字など、この地域のさまざまな文字体系の基礎になった。一方、海洋交易民族フェニキア人は、地中海沿岸で出会った人々にアルファベットを伝えた。この古代フェニキア文字がギリシア文字とラテン文字になり、現在では、西洋の言語は英語も含め、ほとんどがラテン文字を使っている。

【アタクシ的ポイント】
複雑で難しいものは特権性を担保しやすいが、普遍性を獲得するにはシンプルであることが重要。