一家に一枚の名ライブ盤:Live/Donny Hathaway(1972)【CD千本ノック 0117本目】


いつの間にか家に、このCDがあった。いつどこで買ったか、どんなシチュエーションだったのか、全く記憶にないのが正直なところ。ライナーノーツの日付を見ると1998年なので、それ以降に買ったことだけは分かる。

購入前からとにかくジャケットが印象に残っていて、やたらとお馴染みのアルバムだった。なので、誰かに勧められたわけではなかったとも思うのだが、聴くのが当たり前な雰囲気を持っていた。

そんなこともあり、アタクシ的には、音楽好きにとって一家に一枚の必聴アルバムだと思っている。実際にサウンドはグルーブにあふれていて、とてもクールだ。リリース後45年以上経った今聴いても、非常にイケてるアルバムだと思う。

このアルバムは、『ライブ』というタイトルの通りライブ盤。もちろんライブ・アルバムとしてずっと聴き続けてきて、気に入っていたのだが、あまりに自然とアタクシの生活に入り込んで来ていたためか、実は今回このエントリーを書くまでアルバム・タイトルをきちんと認識していなかった。

購入から(恐らく)30年くらい経って、「そうかー。『ライブ』という名のライブ盤だったのかー」と、今噛みしめている。やや恥ずかしい、いや、相当に恥ずかしいのである。すっきりしたけど、何だか後ろめたい。

さて、アタクシの羞恥心は置いておくとして、珠玉の名ライブ盤なのは間違いないので、ダニー・ハサウェイ未体験という方は、ぜひ試してみてほしいなあと思う。

Live/Donny Hathaway(1972)
1. What’s Goin’ On
2. The Ghetto
3. Hey Girl
4. You’ve Got a Friend
5. Little Ghetto Boy
6. We’re Still Friends
7. Jealous Guy
8. Voices Inside (Everything is Everything)

「CD千本ノック」の一覧はコチラ

Apple Musicはコチラ

CDはコチラ

MP3ダウンロードはコチラ


鳴るべき場所を選ぶ音楽なのだろうか:Pink Moon/Nick Drake(1972)【CD千本ノック 0114本目】


アタクシが敬愛するニック・ドレイクの3枚目にして最後のオリジナル・アルバム。『ピンク・ムーン』は、30分足らずの11曲で構成されている。録音当時の彼は、精神科医にかかっている状態で、心はもちろん体調もよくない状況だったようだ。

サウンドは、ギターとわずかなピアノ、そして彼の声だけで成り立っているにもかかわらず、とても奥行きのあるものになっているように思う。音楽を聴いているだけでは、彼の置かれたシンドイ事態に気づかないほどである(アタクシの耳が悪いだけなのかもしれないが…)。

収録を担当したエンジニアのジョン・ウッドは、このミニマルな音楽をデモテープと思い「どうアレンジして欲しいのか」と問うと、ニック・ドレイクは「アレンジはいらない、装飾はいらないんだ」と答えたそうだ。確かにこれまでの2作と比べても、むき出しな感覚があり、彼が奏でた音、彼が歌った声が耳元で聴こえてくる。

発表当時のニック・ドレイクが受けた商業的な低調な評価通り、再評価されリスナーが増えた現在においても、ポピュラリティの高い音楽、アルバムではないのかもしれない。それでも、アタクシにとっては、手放せない作品であり、聴き続けるアーティストである。そうした意味では、鳴るべき場所を選び、細々と聴き継がれていく音楽なのかもしれない。

Pink Moon/Nick Drake(1972)
1. Pink Moon
2. Place To Be
3. Road
4. Which Will
5. Horn
6. Things Behind The Sun
7. Know
8. Parasite
9. Free Ride
10. Harvest Breed
11. From The Morning

「CD千本ノック」の一覧はコチラ

Apple Musicはコチラ

CDはコチラ

MP3ダウンロードはコチラ


半世紀近く前に奏でられた穏やかで美しき歌:Bryter Layter/Nick Drake(1970)【CD千本ノック 0112本目】


初めて聴いたときから、どこか懐かしさを感じるCDで不思議な印象だった。実際に一部の曲を、どこかで聴いていたのかもしれない。ただ、明確に聴いたと言えるのは、リマスター版を購入した2000年以降である(ただ買った時期もあいまいなので、iTunesの登録時期を見ると明言できるのは2006年以降になる)。

そんなこともあり、いつ買ったのか、どうして買ったのか、ほとんど明確でないのが正直なところ。気づいたら家にあって、ヘビーローテーションしているアルバム、アーティストというのが実態である。このように入り口は、かなりあいまいで恥ずかしいのだけれど、ニック・ドレイクはアタクシにとって偉大なスターなのだ。

今回紹介する『ブライター・レイター』は、彼のセカンド・アルバム。ケンブリッジ大学を中退して制作した作品であるが、当時のセールスは1万5000枚とほとんど売れなかったようだ。お世辞にも派手で、ポップな曲が満載というわけではない。どれも地味だと言ってしまったら、確かにその通りなのだ。

だが発売当初、どうしてそれほどリスナーに注目されなかったのかを、振り返って推し測るのは容易ではないと思う。それくらい、美しい調べ、印象深い歌が多いのである。ボーカルのない1曲目「Introduction」なんかでも、その良さは色褪せないのだ。

誰もが知っているポップなアーティストではないし、音源としても50年近く経っているが、知らなかった、聴いたことがなかったという方には、試しに聴いて欲しいものである。

Bryter Layter/Nick Drake(1970)
1. Introduction
2. Hazy Jane II
3. At The Chime Of A City Clock
4. One Of These Things First
5. Hazey Jane I
6. Bryter Layter
7. Fly
8. Poor Boy
9. Northern Sky
10. Sunday

「CD千本ノック」の一覧はコチラ

Apple Musicはコチラ

CDはコチラ

MP3ダウンロードはコチラ