「日本は北朝鮮より怖い」の真意【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0140】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】しおかぜ/櫻木みわ ○
最初の読み始めは、ほとんど集中できず、文章も頭に入ってこなかった。だが、特定失踪者問題調査会のラジオ放送「しおかぜ」についての小説だと分かると、俄然、注意力が高まった。そして、失踪者の家族が語る「日本は北朝鮮より怖いんじゃないか」という発言を聞くに至り、無作為の日本が目の前に立ち現れてきて、急に恐ろしい気持ちになるのだった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】幻の花/石垣りん ○
作者の真意まで読み解けた感じはないものの、人が人生を重ねる中で、経験や記憶が積み上がり、一つの事象であっても複層的に見えることを詠んだ詩ではないかと思った。でも、まぼろしの花の意味や、なぜ今年の花を連れ去るのか、私は何の手に引かれているのかなどは、不明なままであった。

【論考】沈黙の言語/ロラン・バルト △
まだ始まったばかりだが、相変わらず理解できないまま読んでいる。この物言い(翻訳?)にも、いつか慣れるのではないかと思ってのことだ。今回は、日本語は非言語的なコシュニケーションの領域が広いということのようだ。一方、西洋ではコシュニケーションは言語(のみ)で行われるという。この辺りは、よく言われてきたことなので、新発見ではないだろう。


日本語は非論理的って本当だろうか?【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0139】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】おとぎ輪廻/木下昌輝 △
昔話、おとぎ話の登場人物が、オールスター戦のように、この短編小説の中に数々現れては、一つの物語をつないでいる格好だ。ただ、読んで感じたのは、「だから何?」ということだ。自分たちの知っているキャうクターが現れ、特別な能力を示しただけでは、ストーリーは生まれないのではないか。かえって、物語構築の離しさに気づかされた感じだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】時代おくれ/茨木のり子 ○
最新のツールやデバイスを使っているからといって、優れているわけでもないし、ましてや幸福になれるわけではない。作者が言うように、時代おくれを自認しながら生きるのも、それは一つの考え方だと思う。例えば、最近の子どもたちは、小学生くらいでスマートフォンを使うが、それで賢くなっているわけでもないし、成長が促されるわけでもないと思う。

【論考】見知らぬ言葉/ロラン・バルト ○
またしても、全文を理解できぬままの読みで終わってしまった。日本語は、西洋の言語とは違い、主語、主体もあいまいで、客体もはっきりしないという。いわゆる西洋語は論理的で、日本語は非論理的、情緒的であるという言説であるうか。しかし、このロラン・バルト自身の文章は、主語と客体(目的語)がはっきりしていないと思うので、言語の間題ではないと思うのだが。


表徴の帝国【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0138】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】洞ばなし/河﨑秋子 △
もうすぐ7歳になる女の子の話。前回の「泣くのにいちばんいい時間」とは非常に対照的な内容で、女の子が洞に飲み込まれていく、ホラー的なストーリーで、正直後味が悪い。洞とホラ(嘘)をかけているのだろうが、女の子が嘘をつきながら、母親の宝石を盗み出さなければならない理由がわからなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】焚火/北原白秋 ○
最近ではキャンプ以外で、焚火をすることもなくなり、何か火が燃えている状態を見ることもほとんどなくなった。なので、詩を読むと、とても遠いことが書かれた感じがある。何とか昔の思い出を呼び戻しながら読んだものの、今回も作者の真意はつかめなかった。

【論考】かなた/ロラン・バルト ○
原文がそうなのか、翻訳が悪いのか判然としないものの、主旨がつかめなかった。いくつか象徴的な言葉はあるが、全体的に言葉足らずというか、説明不足な感じである。断片的は言葉を、少し勝手につなぎ合わせると、日本は《言語の無化》により、意味が引き裂かれたまま、エクリチュール(表現体)となっているといったところか。


人工的知性は人間を乗り越えるのか?【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0137】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】泣くのにいちばんいい時間/川上弘美 ◎
十歳の女の子が主人公で、漢字の表記も含め、年齢らしい思考がとても気持ちヨイ物語。登場人物のキャラクターの描き方も巧みなので、ちゃんと読み手の頭に思い浮かべられ、生き生きと動いてくれる。自分と性別も年齢も違っているから、共感というよりも納得感の強いストーリーテリングであった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】他ト我/北原白秋 ○
前回と同じ北原白秋の詩。4行というのも同じだ。二人でも、一人でも淋しいと嘆いている。それ自体、全くの同感とはいわないまでも、言っていることは理解できる。ただ、この詩のメッセージにまでは、たどり着けない。他ト我とは、夫婦のことを差しているのだろうか。子どもがいない淋さを詠んだと妄想してしまった。

【論考】コンピューター/外山滋比古 ○
コロンピューターの登場によって、人間の知的活動やその存在価値が変わっていくだろうという内容。今で言うと対話型AIであったり、ちょっと前のインターネットの登場に似ているのかもしれない。議論も、コンピューターによって、人間の仕事が奪われかねないという方向に進む。ただ、コンビューターには創造性があるわけではないから、何かを生み出す際は、きっと人間が登場するだろう。


何故ビール樽をころがすのか【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0136】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】#コロナウ/金原ひとみ △
タイトルの通り、コロナ禍にある人々を描いた作品。こんなにみんな不倫するのかなぁ、というくらい不倫だらけである。括弧書きの会話文だけの箇所が多く、今現在を描写している感じはあるが、とても理解しづらかった。また子どもも、とてもませていて、あまりリアリティーを感じなかった。トレンドを追いすぎなのではないか。

【詩・俳句・短歌・歌詞】ビール樽/北原白秋 ○
これも4行のとても短い詩。何故かビール樽を熱心にころがしている。想像力が乏しいせいか、居酒屋のような飲み屋さんの様子を詠んだのかなぁと思った。落日(イリヒ)という言葉も出てくるが、何だか明るい印象が残る。とは言え、作者の伝えたいことは、あまりピンとこないままであるが。

【論考】拡散と収斂/外山滋比古 ○
われわれには、与えられた情報を変え、脱け出ようとする拡散的作用と、バラバラなものをまとまりに整理する収斂的作用の2つの能力があるという。収斂的思考は受動的であり、拡散的思考は創造的である。学校教育は収斂が中心なので、拡散と収斂の行き来をするのがよさそうだ。


何か得たいの知れないものがあり【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0135】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】今日この頃です/片岡義男 △
不条理とまではいかないが、特に会話が変な感じである。女性なのに男性のような言葉使いだったり、発言も人というより、ロポットみたいだったり。作者は何が言いたかったのだろう。タイト含め物語の真意がまったく分からなかった。個人的には、片岡さんに期待していたので、残念である。

【詩・俳句・短歌・歌詞】なにもそうかたを……/高橋元吉 ○
何事も合理的、論理的に説明できなくてもよいのではないかという提言。その主張自体には同意、共感する部分もあるが、かたをつけたいというのは、人間の本能、性でもあると思う。「何か得たいの知れないものがあり」については、角田さんの「ポケットのなか」に通ずるものがあり、シンクロを感じた。

【論考】既知・未知/外山滋比古 ○
既知のことを再認するのがA、未知のことを理解するのがBとする。とかく、AとBの区別が判然としないし、学校教育もAから始まり、いつの間にかBに移行していたりと、ないまぜになっている。ただ知的活動の中心は、Bにすべきであろうし、AとBの区別やどうやってBを実行するのかという方法論が重大だと感じた。


ああ、ヨットのようだ【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0134】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】ポケットのなか/角田光代 ◎
10年近くかけて「だいじょうぶ」という信頼感を夫婦で築いたが、ほんのささいな出来事から離婚に至ることに。そんなことでと思う反面、自分の妻との付き合いも20年以上になるなかで、実際に変化したり、ずれのようなものを感じることもあり、妙な納得感があった。小説に書かれていたが、私たちは、得たいの知れないものを抱えているのだ。

【詩・俳句・短歌・歌詞】土/三好達治 ◎
「蟻が/蝶の羽をひいて行く/ああ/ヨットのようだ」というわずか4行の詩。それでも、その光景は目に浮かぶし、ちゃんと私に訴えかけてくる。単純だけどと言うより、シンプルだからこそ強く伝わるのかもしれない。修飾をたくさんすればするほど、ぼやけてしまうのと同じなのだろう。

【論考】第一次的現実/外山滋比古 ○
現実には2つあると、筆者はいう。物理的現実の第一次的現実と頭の中にある第二次的現実だ。この第二次的現実は、いわばアカデミズムのことなのだろう。そのためか、第一次的現実に根差した創像的思考の必要性を説く。当時とは時代が変わり、現在はそうした傾向が強くなっていると思う。


蟹がひとりで何か呟いている【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0133】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】悪い春 202X/恩田陸 ○
コロナ禍が色温く反映された内容であった。以前読んだ「悪い春」の続編的な立ち位置だとは思うが、やはりメッセージがなく、ちょっとした落ちだけがあった感じ。そのため、結局、何で読んだんだろうという気分に、させられてしまうのが残念だった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】蟹/三好達治 ◎
樋をのぼる蟹と入道雲との対比、ミクロからマクロへの視点の移動が、とても気持ちよかった。とても短い詩だし、本当に何げない情景を切り取っただけとも言えるが、非常に情感が豊かだと思う。実際に蟹が呟いて(泡を吹いて)いる姿や人道雲を見たことがあり、自分の経験に根差しているからだろうか。

【論考】ことわざの世界/外山滋比古 ○
「具体例を抽象化し、さらに、これを定型化したのが、ことわでの世界である」と、筆者はいう。創造的な思考において、あまりことわざの効用を考えてこなかった。抽象化、定型化されていることから、構造主義的にロジックを合てはめたり、比べられる点は、思考の整理になると思った。


へちまに見る生命の不思議さ【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0132】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】サクラ/尾崎世界観 ○
登場人物に対して、ちょっと距離感のある独特な文体が心地よく、また一方で、没入できない感じもあり、不思議な読後感であった。会話などとてもリアリティーのある印象で、目に見えないもの、例えば心情などはぜビビッドに伝わってきたものの、情景描写が少ないため、風景は浮かんでこなかった。

【詩・俳句・短歌・歌詞】へちま/高橋新吉 ○
生命の不思議を、へちまに例えた詩だろうか。「お前は元々どこにもなかったものだ」と書かれている通り、生命以前に存在していたとすれば、それは無なのである。生命の不思議さを、もちろん解明するわけではないが、「うれしさ」と捉えている点で私はホッとしたのだった。

【論考】知恵/外山滋比古 ○
耳学間のススメ。やや大げさに言うと、暗黙知の積極的な習得といった感じだろうか。ただ今は、「ググれカス」の言葉がある通り、人伝えで知識や知見が広がりづらく、何でも検索で解決しようとすることが多いように思う。私個人は、人伝えが大事であり、効率もヨイと感じている。


幸福や愛は既に目の前に存在している【ブラッドベリ1000日チャレンジ#0131】


レイ・ブラッドベリさんが、「クリエイティブになるには、三種の読書を1000日続けよ」と仰っていたということで、短い物語(短編小説)、詩・俳句・短歌・歌詞、論考と三種類のテキストを毎日読みます。そして、何を読んで何を感じたかを、備忘録的に記録しています。

【短編小説】あんなカレーに……/小川哲 △
『アンナ、カレーニナ』と「あんなカレーに……な」というダジャレだけの内容。メッセージがないとしか思えないし、読むのが辛くなるばかりだった。普通のストーリーが書けないのだろうかと、創作の姿勢の方が気になってしまうし、出版社の編集方針にも疑問を感じる。

【詩・俳句・短歌・歌詞】夢みたものは……/立原道造 ○
自身が夢みた幸福や愛は、きっと目の前にあるよということか。幸福も愛も、自らが感じるしかなく、どこかからやって来るものではない。今いる状況や環境を受け入れ、その中でポジティブなものを見い出すしかないのだろう。逆に、不幸が存在しているわけではないのだ。

【論考】三上・三中/外山滋比古 ○
三上というのは、馬上、枕上、厠上のこと。三中は、無我夢中、散歩中、入浴中。いずれも創造的思考が働きやすい状況や状態を指している。すべてが机の前ではないのが面白い。逆から言うと、デスクに向かって思考を働かすのは、そもそも至難の業なのかもしれない。